30代を超えたサッカー選手は、周囲から『キレが無くなった』と言われる事が多くなりますが、この『キレ』と言われる動作を具体的に解剖し、ピンポイントでアプローチしていくことで、30代の選手であっても、20代の頃の『キレ』と呼ばれる動きを取り戻す事ができます。

 

🔴全盛期の‘‘キレ’’の正体=股関節可動域

『キレ』と言われる動きをもう少し具体的に表現するなら、それは水平方向への瞬発力と言えるでしょう。ストップ、加速、方向転換等、こう言った水平方向における瞬発力が失われると、その動きからは『キレを失った』という印象が漂います。そして、この能力は主に『2つ』の要素によって構成されます。

それは、

・足をつく角度
・地面を蹴る力

です。

f:id:ryotadohi:20180621045246j:image
(地面を蹴る力と角度で水平方向への力は確定する)

水平方向への移動は全て、地面を蹴る際にどれだけ軸足を鋭角に着き、力のベクトルを横向きの成分に変換できるか。が鍵となります。

『力のベクトルの向き』はサッカー界ではあまり重要視されていない概念ですが、水平方向へ移動を競う競技では一般的な考え方であり、例えば陸上のクラウチングスタートや、ラグビーのスクラムの姿勢などがそれにあたります。

f:id:ryotadohi:20180623045803p:plain

鋭い方向転換を行おうとする際、力点となる軸足はなるべく体幹部分から離れた場所においた方が、水平方向への力は効率よく生み出される。そして、それを体現するために必要なのは、もちろん意識がけではなく、股関節の左右前後へ大きく開く柔軟性です。

f:id:ryotadohi:20180621011804j:plain
股関節全体の柔軟性が向上すれば、何も意識する事なく、全ての方向転換、加速において少しづつ軸足が体幹部から離れた位置に出るようになり、軸足角度が鋭角になってきます。

年齢を重ねることでこの力が低下するのは、股関節の柔軟性が低下し、方向転換の際軸足が重心に近づいてくるからです。軸足が重心に近づいてくれば、当然軸足と地面が作る角度は大きくなっていきます。

30代を迎えると、選手の動きに『キレがなくなった』と言われる事が多くなるのは、決して選手のパワーが落ちたというだけではなく(厳密にはあるけれど)自身のパワーを水平方向に変換させる事ができなくなった。というのが実際に起こっている事です。

ちなみに、垂直方向へのパワーを競うウエイトリフティングなどの競技は、30〜40代であってもバンバン自己新記録を叩き出すことができます。ボディビルダーでも同じ。筋力というのはトレーニングによって30代でもどんどん伸びていくものなのです。

 

🔴30代の全ての選手に見られる変化

話を戻しましょう。この水平方向への力の変換が苦手になるという変化は、例えば現在でも世界トップを維持するクリスティアーノ・ロナウドであっても例外ではありません。

以下の2枚の画像を見てください、この画像は2004年のプレー動画の中で、ロナウドが‘‘最も深い角度で軸足をついたシーン’’を切り取ったものです。

f:id:ryotadohi:20180621011240j:plain

f:id:ryotadohi:20180621011241j:plain

f:id:ryotadohi:20180621011235j:plain
ストップ、方向転換、スタート時の軸足の角度は、45度を下回るほど鋭いものがいくつも発見できます。

しかし、現在のロナウドはどうでしょう。同じ条件で2018年の彼のドリブル動画を調査すると、

f:id:ryotadohi:20180621011325j:plain

f:id:ryotadohi:20180621011328j:plain

軸足角度がかなり大きくなっています。

今回も、おおよそ10分間(100近いプレー数)のプレー動画の中、最も深い軸足角度を切り取ったものの、その角度は一度も45度以下に達する事はありませんでした。

レアルマドリード入団以降、ロナウドのプレーは『キレを生かしたウインガータイプ』から、大型センターフォワードタイプに変化しました。このプレースタイルの変化によって、34歳となった現在でもトップパフォーマンスを維持しているものの、動きのキレ(水平方向への瞬発力)という視点から見れば、やはり若い時代のそれと比べ確実に低下しています。

ちなみに、若い時代のロナウドに限らず、『キレがやばい』と一般的に言われる選手は、皆とてつもなく深い角度で軸足を地面につける事ができます。現代で言えばネイマールやムバッペなどがその代表です。

f:id:ryotadohi:20180621043736j:plain
(ムバッペの軸足角度)

股関節周辺の柔軟性は、若い選手の特権の一つ。そしてその柔軟な股関節が、選手の脚力を水平方向へと変換する。この能力の低下が、ベテラン選手の動きに『若々しいキレ』を失わせる最も大きな原因です。

もちろん、こ専門のトレーニングしていくことによって改善、復活させていくことができます。実際に肉体改造をスタートして『映像ベースで明らかに変わったな』と感じるレベルまでおおよそ5週間。8週間あれば別人レベルまで劇的な変化を起こすことが可能です。